2017年08月06日

「人形や珈琲店」第9話

人形や珈琲展 8-1-1.jpg

足元の人形達につまずきそうになりながら、
急いで一階に下りると、とむさんは
あわてて自分の両手を確認しました。
さっき見えた細い糸はもうありません。
右手には、しんの折れた鉛筆。
左手には小さなスケッチブックを持っているだけです。


カウンターではできたてのコーヒーが
良い香りをたてていました。

「良い絵はかけましたか?」
店主は、とむさんの折れた鉛筆を見ながら
ほほえむと、湯気のたつ
小さいカップを差し出しました。
後ろの階段を見ると、
まだ人影がゆらゆらと揺れています。

とむさんは、かたかたと震える手で
コーヒーを一口飲むと、
急いで玄関へ向かいました。
「ご、ごちそうさま。」

「おや、もうお帰りですか。」

〜つづく
(9/10) 次回最終話です。
ラベル:絵本
posted by suzumikawamura at 09:17| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする