2015年07月24日

すみれさんと雨 7

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「どこへ続いているのかな。」
すみれさんは糸をたよりに奥へと進んで行きました。
カタカタカタ、コト、カタン。
規則的な機械の音がひびいてきます。

突然、丸い壁に囲まれた
高い天井の部屋にたどり着きました。
ドーム型の壁は、まるで
スプーンでくりぬいたゼリーのよう。
入口のカウンターには、
つやつやの布地がつまれている大きな箱が
いくつもならんでいました。

部屋の丸い壁にそって洋服かけがぐるりとならび、
そこには沢山のドレスがかけられています。
ドレスにはやわらかなカバーが掛けられ、
カバーには一つ一つ名前が書いてありました。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 11:56| お話 すみれさんと雨 16話 | 更新情報をチェックする

2015年07月16日

すみれさんと雨 6

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すみれさんは、気がつくと淡い光が届く空間に
ひとりぽつんと立っていました。
目の前には人ひとり通るのがやっとの細い穴が、
なだらかなくだり坂のように続いていました。

ふりかえるとさっき覗き込んだ丸い水たまりが見えます。
そこが入口のようでした。
光る玉を中心に、何重もの雨の波紋が
糸巻きのようにくるくると忙しく回転しています。

水たまりからは幾本もの細い糸がピンとはられて
あなの奥へ続いています。
糸がゆれると、あたりの壁はきらきらと虹色に反射しました。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 11:23| お話 すみれさんと雨 16話 | 更新情報をチェックする

2015年07月13日

すみれさんと雨 5

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水たまりには、
す、す、すっと細い雨のしずくが
おちては消えて行きます。
そのちょうど真ん中あたりに
小さな光がぽわんと浮かんで見えました。

じっと見つめていると、
雨の波紋がくるくると回りはじめました。
すみれさんは、おそるおそる右手の人差し指で
そっと光をつつきました。

すすすい。
すみれさんの右手が指先から、水たまりの中に引き込まれて行きます。
「わ、わ、わ。」
にゃあ、にゃあお。
みーが耳元でないたかと思うと、あっという間。
まばたきを2回したくらいです。

すすすすすー、とん。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 09:49| お話 すみれさんと雨 16話 | 更新情報をチェックする