2015年11月28日

いちばん雪 6 〜最終話

そうたの感心した様子をみて、
雪虫はふわりと舞い上がりました。

「ね。わかった?わたしもこれから
 巣の仕度があるから、さよなら」
そういって雪虫は、
古いヤチダモの木がならぶ公園にむかって
飛んで行きました。

「雪が降るんだ。明日から手袋をしようっと」
そうたは、つめたくなった手に
はあっと息を吹きかけました。
そして雪虫が見えなくなるまで見送った後、
また走り出しました。

〜おわり

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ここ数日で、北海道はすっかり雪景色です。

北海道出身、在住の自分にとっては
冬の初めに毎年出会う雪虫。
調べてみると、北日本で通称雪虫とよばれる虫は
いくつかいるらしいのですが、
北海道でなじみのある雪虫は
トドノネオオワタムシというそうです。

お話のなかにあるように、
初雪が降る少し前に一斉に飛ぶ事から、
雪虫を見たら「もうすぐ雪が降るね」と言い合うのです。

私にとっては当たり前の存在の虫だったのですが、
以前、私のこのお話を読んだ
児童文学同人誌の仲間全員から(みんな出身地はバラバラ)
雪虫そのものも私の創作だと思ったと言われ、
そうかみんな知らないのかと逆に驚いたものです。
posted by suzumikawamura at 08:48| お話 いちばん雪 6話 | 更新情報をチェックする

2015年11月26日

いちばん雪 5

「もう、街はすっかり寒いでしょう?
 わたしたちの卵がちゃんと冬をこせるような
 立派な木を探しにきたの」
「そう。それで、何がいちばん雪?」

「うん。わたしたちはそれぞれが
 いちばん最初にあった誰かに、
 もうすぐ雪がふりますよってしらせるの」
「へえ、そうなんだ」

〜つづく
posted by suzumikawamura at 13:16| お話 いちばん雪 6話 | 更新情報をチェックする

2015年11月24日

いちばん雪 4

「はあ、雪じゃないんだ」
そうたのつぶやきに、雪虫は
小さな頭をゆらしながら答えました。
「うん、そう。でも、あなたの言った
『いちばん雪』っていうの。
 案外、間違ってないかもね」

「え、そうなの?」
そうたはゆっくりと立ち上がると、
手をもぞもぞと前にさしだしました。

すると雪虫は、あたりまえのように
そうたの手のひらにぴたりと止まると、
また話し始めました。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 12:53| お話 いちばん雪 6話 | 更新情報をチェックする