2015年11月24日

いちばん雪 4

「はあ、雪じゃないんだ」
そうたのつぶやきに、雪虫は
小さな頭をゆらしながら答えました。
「うん、そう。でも、あなたの言った
『いちばん雪』っていうの。
 案外、間違ってないかもね」

「え、そうなの?」
そうたはゆっくりと立ち上がると、
手をもぞもぞと前にさしだしました。

すると雪虫は、あたりまえのように
そうたの手のひらにぴたりと止まると、
また話し始めました。

〜つづく
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2015年11月22日

いちばん雪 3

「君みたいなうっかりやに
 見つかっちゃうなんて、
 ついてないな」
そうたの耳元で、雪の粒が
またしゃべりだしました。

「ゆきむし。わたしはね、雪じゃないから」
声のするほうをみると、なるほど確かに
羽根の下に白いわたをもった虫でした。

うす茶色い体から細い糸くずみたいな足が6本。
けれどそのゆらりと揺れるようすは、
風に舞う小さな雪のかけらのようです。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 20:52| お話 いちばん雪 6話 | 更新情報をチェックする

2015年11月19日

いちばん雪 2

「へえ、雪がふってきたぞ。 
 いちばん星じゃなくていちばん雪だな」

白いひとひらの雪は、
風がないのにちらちらと揺れてみえます。
ゆっくりゆっくり。
「いちばん雪、たべちゃえ。あ〜ん」
そうたは、丸めていた背中をぴんとのばし、
空に向けて大きな口をあけました。

「だめだめ!たべないで。よくみてよ」
突然、目の前の雪が小さな声でしゃべり出しました。
「うひゃっ」
驚いたそうたは、まるで小猿のような叫び声をあげ、
そのまま冷たい歩道にしりもちをついてしまいました。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 10:58| お話 いちばん雪 6話 | 更新情報をチェックする