2015年12月05日

ビスケットのお礼 3

「仕事ってなに?」
「もちろん、遊ぶこと」
女の子は、すまして答えました。

「へえ、遊ぶのなら私もなかまにいれて!」
あさちゃんはそう言ってから、
お母さんとの約束を思い出しました。
そこで、
「でも、また今度ね。今日は急いでいるの」
と残念そうに付け加えました。

「そうか、それは残念だな。
 でも今度会う時は、必ず一緒に遊ぼうよ」
といって、男の子たちは、道をあけてくれました。
「ありがとう」

そのとき、あさちゃんは、ポケットに入っている
ビスケットの事を思い出しました。
今日、放課後クラブのおやつにでた
ビスケットの残りです。

〜つづく
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2015年12月03日

ビスケットのお礼 2

「とにかく、帰る道をさがさなくっちゃ」
あさちゃんは目の前に続く
まっすぐな道を歩き出しました。

しばらく進むと、道の真ん中で
男の子と女の子がしゃがみこんでいました。
「こんにちは。わたし家に帰りたいんだけど、
そこを通してもらえる?」

すると、小さい方の丸顔の女の子が
めんどくさそうに答えました。
「だめよ。今、あたし達忙しいんだから」
すると、四角い顔の背の高い男の子も
「そうさ、僕たち仕事中なんだ」
と、あさちゃんの事などかまっていられない
といった調子で、通してくれようとしません。

〜つづく
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2015年12月01日

ビスケットのお礼 1 全6話

『6時にはかえってくること』
これはお母さんとの約束です。
それが、もう6時を10分もすぎたところ。
あさちゃんは、あわてて家のドアを開けました。
「あ!」

驚いた事に、あさちゃんの足元には、
まっすぐな道が続いています。
今、ドアを開けて玄関へ入ったはずなのに、
ここはどこでしょう。

振りかえると、
そこにあるはずのドアも消えています。
すぐそばにはたくさんのツルがからまった
古い木の柵がみえました。

ツルのあちこちに
不思議な形の花が咲いています。
薄紫色の花びらの内側には
細い花弁が丸い文字盤のように並び、
花の真ん中には、時計の針のような
3本のおしべが見えます。
いつか図鑑で見た事のある時計草の花でした。

「どうなってるの?」
どうしたことか、いままで見た事が無い景色です。

〜つづく
posted by suzumikawamura at 09:49| お話 ビスケットのお礼 6話 | 更新情報をチェックする