2015年12月20日

海の底でのむソーダ水 3

「ここに、もう一冊あったのかも。
 貸し出し中かな」
念のため、隙間に手を差し込んでみました。

するとぶつかる物もなく
ことちゃんの手首がすっぽり隠れました。
「あれ!何もない。むこうのかべは?」

あわてて手をひっこめて、一歩あとずさり
ことちゃんは自分の手のひらを確かめてから、
目の前の本棚を見つめました。
隣の本の大きさを考えると、
本棚の深さは手のひらが
ちょうど隠れる程しかないはずです。

ことちゃんは、もう一度本棚の前にすすむと、
今度は本の隙間をのぞいてみました。

〜つづく(3/12)
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2015年12月18日

海の底でのむソーダ水 2

この図書館では週に一度、
こども達のためのおはなし会があります。

「今日のお話がはじまりますよ」
ついさっき、貸し出しカウンターの向こうから
お姉さんの元気な声が聞こえて、
奥のおはなし部屋のドアが
ぱったり閉められました。

児童書コーナーにのこっているのは、
ことちゃんくらいです。
「おはなし会なんて、あきちゃったよ」
ことちゃんは、人差し指で本の背表紙を一冊ずつつついて、
もう一度題名を確かめました。

やっぱり読んだ事があるものばかり。
最後の9冊目の隣には、
ちょうど一冊分の隙間が空いていました。

〜つづく(2/12)
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2015年12月16日

海の底でのむソーダ水 1(全12話)

「ええっと、『海賊島探険隊』は……読んだ。
 『泣き虫ロボット宇宙へいく』
 う〜ん、読んだ。あれも、これも。
 もうみんな読んじゃったな」

全部で9冊。
ことちゃんが好きな冒険シリーズは、
一度読んだ事がある本ばかりが並んでいました。

「他の本棚にも、おいてあるかな。
 でもいつも順番通りに並んでいるし、
 ここにしかないよねえ」

壁の時計を見ると、午後3時を過ぎたばかり。
貸し出しカウンターの向こうでは、
ちょうど「おはなしのじかん」がはじまった所です。

〜つづく(1/12)
posted by suzumikawamura at 09:57| お話 海のソーダ水 12話 | 更新情報をチェックする