2016年02月20日

行きたいところに行ける地図 12

「こりゃいかん」
「こりゃいかん」
「こりゃいかん」

小さくつぶやいた言葉が、
カミナリのように
店中にひびきわたりました。
へんな声を聞いた近所の人たちが、
すぐにかけつけてくるかもしれません。

(にげなくては)
勢い良く立ち上がったとたん、
頭をテーブルにおもいきりぶつけました。

「いたっ!」
「いたっ!」
「いたっ!」

よろよろと立ち上がり、
入口のドアから勢いよくとび出すと
あせって閉めたドアに、今度は
自分の長いあごヒゲをうっかりはさんでしまいました。

「ひゃあっ!」
「ひゃあっ!」
「ひゃあっ!」

男は両手で力一杯口もとをおさえると、
また急いで店からとびだしました。

〜つづく(12/15)
posted by suzumikawamura at 11:12| お話 行きたい地図 15話 | 更新情報をチェックする

2016年02月17日

行きたいところに行ける地図 11

「うわ!」
男はいたずらな光をよけきれず、
おもわず小さな声をあげました。

すると光は、待ってましたとばかり、
ぽかっとあいた口へシュッ。
そのまま勢い良くのみこまれていきました。

甘い香りが、鼻を鋭く抜けて行きます。
そのうち、なんだか喉のあたりが
くすぐったくなってきました。
さわってみると、ほうっと熱をもっています。

「へんなかんじだな」

「へんなかんじだな」

「へんなかんじだな」

「!」

男は、自分のかん高い叫び声にびっくり。
あわてて後ろにひっくりかえってしまいました。
転んだはずみで、ポケットから
なにかが転がり落ちた事にも全然気がつきません。

〜つづく(11/15)
posted by suzumikawamura at 22:13| お話 行きたい地図 15話 | 更新情報をチェックする

2016年01月31日

行きたいところに行ける地図 10

「電気をつけちゃ、見つかっちまうからな」
月明かりの中、目をこらすと
ぼうっと光るガラス瓶が浮かんで見えました。

「おやおや、これはなんのお宝かな」
中には煙のようなものがうずまき、
キラキラ輝く光が差し込んで見えます。

「何が光っているんだろう…」
男は瓶を手にとり、ふたを軽くゆるめました。
とたんに、中の光が
勢いよくとび出しました。

「おっとっと」
鋭いオレンジの光は、
男の顔の周りをクルクルと飛び始めました。
まるで楽しんでいるかのように
音をたてて走ります。
シュッシュウー。

〜つづく(10/15)
posted by suzumikawamura at 15:50| お話 行きたい地図 15話 | 更新情報をチェックする