2017年08月16日

雨のいと

人形や珈琲店 23-3.jpg

この「人形や珈琲店」と、
前に掲載した「すみれさんと雨」は
同じ時期に書いたものです。
どちらも最初は「雨のいと」という題名でした。
以前道外に住んでいた時、梅雨時期の
窓にあたる雨が、細く長い
糸のようだなと思っていました。

その頃近所に洋服の仕立屋さんがあって、
時々カラフルなベストをきた
男の人をみかけました。
たぶん、その店の店主だと思うのですが
「この人、なにかファンタジー系の
児童書にでてなかったかしら」
と思えるくらい
印象深い個性的なキャラクターでした。

二つのお話にでてくる
男の人はその店主が
イメージモデルになっています。
(本物はもう少しご年配の方でしたが……)
ラベル:絵本
posted by suzumikawamura at 10:20| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする

2017年08月09日

「人形や珈琲店」第10話(最終話)

人形や珈琲店 23-1.jpg

店主は少し残念そうでしたが、
あきらめたようにうなずいて、
とむさんにこうもり傘を手渡しました。

外に出ると、雨はもう小降りになっていました。
駆け足で進むとむさんの背中にむけて
「また、お待ちしています。」
と声がしました。

振り返ると、店の入り口で
店主が手を振っているのが見えました。
キラリ。
その右手の先から、雨のような細い糸が、
空に向かってのびていました。

人形や珈琲展 8-1-2.jpg

〜おわり

(10/10)
ラベル:絵本
posted by suzumikawamura at 07:00| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする

2017年08月06日

「人形や珈琲店」第9話

人形や珈琲展 8-1-1.jpg

足元の人形達につまずきそうになりながら、
急いで一階に下りると、とむさんは
あわてて自分の両手を確認しました。
さっき見えた細い糸はもうありません。
右手には、しんの折れた鉛筆。
左手には小さなスケッチブックを持っているだけです。


カウンターではできたてのコーヒーが
良い香りをたてていました。

「良い絵はかけましたか?」
店主は、とむさんの折れた鉛筆を見ながら
ほほえむと、湯気のたつ
小さいカップを差し出しました。
後ろの階段を見ると、
まだ人影がゆらゆらと揺れています。

とむさんは、かたかたと震える手で
コーヒーを一口飲むと、
急いで玄関へ向かいました。
「ご、ごちそうさま。」

「おや、もうお帰りですか。」

〜つづく
(9/10) 次回最終話です。
ラベル:絵本
posted by suzumikawamura at 09:17| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする