2017年07月19日

「人形や珈琲店」第3話

人形や珈琲展3.jpg

玄関までの敷石の手前には、
木彫りの看板が立っていました。
人の顔をかたどった、
大きな目鼻がある看板には
『人形や 珈琲店』とありました。

「人形や?へえ、こんなところに
 こんな建物があったんだ。」
手前の細く開いている小窓からは、
ぼんやりとした灯りがにじみ、
コーヒーの香りがただよってきます。

とむさんはその良い香りにひかれて、
そっと中の様子をうかがいました。

「いらっしゃいませ。」
静かにドアが開き、
ささやくような声が聞こえました。
ドアの向こうには、
背の高い男の人が立っていました。

〜つづく
(3/10)
posted by suzumikawamura at 09:40| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする

2017年07月17日

「人形や珈琲店」のこと

人形や珈琲展 n.jpg

「人形や珈琲店」は、以前、児童文学の
同人『宙の会』に所属していた頃書いたお話です。
月に1回、それぞれの作品を仲間と合評しあう
勉強会に参加していました。

絵は、ソフトパステルを使って描いたり、
自己流でパソコンを使って描いてみたり。
試作本は、当時いろいろな素材を試しながら
作るなかで、これは登場人物と小物を
粘土で作って作画したものです。

今使用している粘土とは違い
クレイアニメなどに使われている
粘土を使っています。
固まらない素材なので、とむさんは一体のみ作り、
他のページでは体の中心と手足に入れた針金を曲げ、
姿勢を変えて撮影しました。
ラベル:絵本
posted by suzumikawamura at 15:15| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

「人形や珈琲店」第2話

人形や珈琲展 n2.jpg

さらさらと細い雨粒は、
とむさんのこうもり傘をつたって落ちては、
すぐ目の前の道を、
ゆっくりにじませて消えていきます。
見慣れた道も、晴れた日とはまた違う景色でした。

いつものようにバス通りへ出たとき、
とむさんは目の前にぽつりとおかれている
赤いとんがり帽子の、工事標識に気づきました。

とんがり帽子の行列の先は、道幅が狭くて、
傘を差しては通りにくそうです。
「しょうがないなあ。」
あたりを見回すと、左手の先に、
ぼんやり灯りが見えました。
「なんの灯だろう。ちょっと行ってみようかな。」

とむさんは、細い通りの小さな灯りに誘われるように
ゆっくりと進んでいきました。
すると灯りを囲むように、
木が朽ちて壊れかけた垣根がみえてきました。
ところどころに崩れた後がある赤い煉瓦の壁。
灯りのもとは二階建ての細長い一軒家でした。

〜つづく
(2/10)
posted by suzumikawamura at 08:45| お話 人形や珈琲店 10話 | 更新情報をチェックする