2020年04月22日

お話 ぼくのさんぽ7

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「あーあ、ツルツル頭なんて、
 誰かに見られたらかっこ悪いや。」
まるい頭をかきながら、
あたりを見回すと、
ゆれるワカメのむこうにも一つ、
まるい頭をみつけた。

細長い八本足には吸盤がついている。
「うわあ、ほんもののタコだ!」
(ぼくも、タコだけど。)
ぼくには気づいていないようだ。
あちらのタコは、黒くて四角い鞄を
大事そうにかかえて泳いでいる。

くねくねと器用に動く細い手を
頭の上へのばしながら、
白いハンカチのような光を
追っかけていた。
「なんだろう。くらげかな。」
posted by suzumikawamura at 10:19| お話 ぼくのさんぽ 10話 | 更新情報をチェックする

2020年04月18日

お話 ぼくのさんぽ6

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お隣の庭に植えられていた
椿の木が踊っている。
近づいていくと、それは椿じゃなくて、
波にゆれているワカメだった。

ぼくのすぐ側を見たこともない
色鮮やかな魚が
群れをなして泳いでいった。
ぼくは、タコになって海の底にいた。
posted by suzumikawamura at 12:56| お話 ぼくのさんぽ 10話 | 更新情報をチェックする

2020年04月14日

お話 ぼくのさんぽ5

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足をさわろうとして、
また驚いた。
たくさんある手の
どれを出していいのか
迷ったのだ。

「うわ!」
びっくりして、頭を押さえると
つるりと手がすべった。
うん、まちがいない。
ぼくは、タコになっている。

「なんで?どうして?」
ぼくは頭がくらくらした。
でもそれも長くは続かなかった。
だって、タコだもん。
悩んでいるタコなんて
聞いた事が無い。

その時まわりの景色が、
ゆらゆらと揺れ出した。
posted by suzumikawamura at 10:00| お話 ぼくのさんぽ 10話 | 更新情報をチェックする