
じんわりととけて、
またキラキラと降ってくる。
「雪だ!な〜んだ雪か。
どおりで寒いと思った。」
細くあいたベランダから、
冷たい雪がしんしんと
吹き込んでくる。
ぼくは、ごろりと横になって
うとうとしていたらしい。
「あら、やあだ。今日、
降るっていったっけ?天気予報。」
うっかり洗濯物をぬらしてしまった
お母さんは、ぼくの返事を聞く前に、
ベランダの戸をカラカラと開けて
慌ててサンダルをはいている。
そのとき、見覚えのある
丸い頭が塀の向こうにみえた。
いつもの男の人が
こちらをみて笑っている。