2014年12月11日

おしゃべりなうさぎの光る石のはなし 15(最終話)

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いやあ、でもどうしてそんなに
ピカピカ笑っているのかと思ったら。
ええ。わたしには、笑い声が聞こえるんですけどね。
ああ、そうか。夜空では出番が無かったけど、
ここではすてきな髪飾りになってうれしいんだね。
このショーウインドーは、
お店の一番目立つところだしね。

近々売れる予定なんですか?
ほお、女の子の誕生日プレゼント。
そりゃいいですね。大切にしてもらえそうだ。
ほんと良かった。
あれからずっと気になってましてね。
ほっとしました。

あ、耳にあたる風がつめたくなりました。
もう、すっかり日が暮れちゃいましたね。
では、おかみさん。
お引き止めしちゃってすみませんでした。
わたしも早く帰って
月をながめる準備をしないと。

ええ、それじゃさよなら。
おやすみなさい。

                〜おわり
posted by suzumikawamura at 08:26| お話 おしゃべりうさぎ 15 | 更新情報をチェックする

2014年12月08日

おしゃべりなうさぎの光る石のはなし 14

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セイタカアワダチソウが、
黄色い帽子を秋風に揺らしながら歌っていたんです。
それを聞いたとき、この歌はもしかして
あの子の歌かもしれないって思いましてねえ。

あの子の歌を聞いた花たちが
うわさ話をしているんじゃないかって。
だから、森からずうっと走ってきました。
ときどき立ち止まって、耳を澄ましながらね。

それでこの店の前までたどり着いたんです。
ほら、この髪飾りの上のももいろの石。
わかるでしょ、星の子ですよ。

あのあとずうっと流されて
海までたどりついたんですね。
それで、海の上でも
あんまりきれいに光っていたから、
きっとエサと間違われて
魚に食べられちゃったんでしょう。
で。そのあとここに、ね。

             〜つづく

*次回のNo.15でこのおはなしは終わりです。
posted by suzumikawamura at 12:07| お話 おしゃべりうさぎ 15 | 更新情報をチェックする

2014年12月04日

おしゃべりなうさぎの光る石のはなし 13

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星の子が光ると、本当に
夜空がそこにあるみたいでした。
しんと静かな夜でしたから、
川のさらさら流れる音と、
星の子のピカリピカリ歌う声が、
森中に響いていました。

そのうち
「ぼくはここ、わりと気に入ったよ」
なんて言いながら、口笛をふいたりしてねえ。
それで、わたしはそのまま途中でお別れして、
一人で巣穴へ帰ってきました。
夏の始め頃だったかな。

それが今日、森を散歩していたんですけどね。
風に乗ってあの歌が、
ざわざわと聞こえてきたんですよ。              

ぴかぴか ガラスに 銀細工
なんだか 夜空 みたいだよ
ひんやり ガラスに 光る星
ほらほら 夜空 みたいでしょ
               
             〜つづく
posted by suzumikawamura at 20:37| お話 おしゃべりうさぎ 15 | 更新情報をチェックする